肥満症とは

「肥満」に伴って健康を脅かす合併症がある場合、または合併症になるリスクが高い場合は「肥満症」と診断され医学的な減量治療の対象となります。BMIが25以上で11種の健康障害(合併症)が1つ以上あるか、健康障害を起こしやすい内臓脂肪蓄積がある場合に診断されます。
肥満に起因・関連して起こる
健康障害
- 耐糖能異常
- 脂質異常症
- 高血圧
- 高尿酸血症・痛風
- 冠動脈疾患:心筋梗塞・狭心症
- 脳梗塞:脳血栓症・一過性脳虚血発作
- 脂肪肝(非アルコール性脂肪性肝疾患)
- 月経異常、不妊
- 睡眠時無呼吸症候群(SAS)・肥満低換気症候群
- 運動器疾患:変形性関節症(膝・股関節)・変形性脊椎症、手指の変形性関節症
- 肥満関連腎臓病
治療方法
減量治療の基本は食事、運動などのライフスタイル改善療法です。生活習慣を変えることは困難ですが、肥満症では3~6か月で現在の体重から3%の減量を目標とします。糖尿病、高血圧、脂質異常症などの合併症が診断された場合には、減量に加えて、各々の治療方針に準じて薬物療法を含めた対応が必要です。2型糖尿病で肥満がある場合、減量効果が期待される糖尿病治療薬としてSGLT2阻害薬とGLP-1受容体作動薬・GIP/GLP-1受容体作動薬があり、病状にあわせて糖尿病治療薬の選択を行います。
GLP-1受容体作動薬・GIP/GLP-1受容体作動薬のうちセマグルチド/ウゴービ®、チルゼパチド/ゼップバウンド®が肥満症治療薬として承認されており、これらの薬剤は肥満治療に大変有効であることに加え、健康障害の改善にも効果があることが示されています。現時点では保険診療の取り扱いができる医療機関の施設基準の敷居が高く、教育研修施設である大学病院や総合病院を除いたクリニックでは処方が困難な状況です。また施設基準を満たしている医療機関でも処方開始前に、最低6か月間の食事療法と運動療法の継続、2か月に1回の栄養指導を受けている必要があり、通院や時間の確保など種々の理由により現実的な選択肢とならない場合もあるものと考えられます。
当院では上記のような保険適応の条件に該当する方であっても、柔軟に治療を開始できるよう自費診療として肥満症治療を実施いたします。
保険適用となる条件
高血圧・脂質異常症・2型糖尿病のいずれかを有する方で、以下どちらか該当する方
- BMIが27kg/㎡以上であり、肥満に関連する健康障害を2つ以上有する
- BMI35kg/㎡以上の方
※ また施設基準を満たしている医療機関でも、保険での処方には以下のような要件を満たす必要があります。
- 肥満症治療薬の使用前に最低6か月間は食事療法と運動療法の継続
- 使用開始後も2か月毎の栄養指導を受けていないと継続投与ができない
当院のダイエット外来の特徴
ウゴービ®、ゼップバウンド®/マンジャロ®でのメディカルダイエット
保険適用の条件を満たしながら種々の理由により処方可能施設への通院が困難な方には、ウゴービ®、ゼップバウンド®での適応内自費診療を実施します。マンジャロ®は適応外使用となるため、費用、副作用、医薬品副作用被害救済制度の適用外となることを説明し、同意書にご署名をいただいた方に限り、自費診療としてご提供しています(適応外自費診療)。
当院ではGLP-1受容体作動薬、GIP/GLP-1受容体作動薬の使用経験が豊富で治療効果や副作用に熟知した、日本糖尿病学会糖尿病専門医が診療を行います。自己注射方法についても看護師が丁寧にご説明いたします。
注意事項
- メディカルダイエットは自費診療(自由診療)となります。
健康保険は使えません。混合診療が禁止されているため自費診療と同時に保険診療を受けることはできませんのでご注意ください。GLP-1受容体作動薬(セマグルチド/ウゴービ®)、GIP/GLP-1受容体作動薬(チルゼパチド/ゼップバウンド®)は肥満者に効能又は効果がある薬剤として薬価収載されていますが、当院では現時点で施設基準を満たさず自費診療となります。 - 肥満に伴う健康障害の予防・管理、心血管リスクの低減を目的として実施し、肥満のない健康な方への瘦身目的での処方は致しませんのでご了承ください。
- 適応外自費診療では、万が一、重篤な副作用が出た場合に、国の医薬品副作用被害救済制度の対象外となります。
- 国内の在庫状況によってはダイエット外来を中止させていただくことがございます。マンジャロは2型糖尿病の治療薬です。あらかじめご了承ください。
費用について
ウゴービ0.25mg | 1本 4,500円 |
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ウゴービ0.5mg | 1本 6,500円 |
マンジャロ2.5mg | 1本 5,000円 |
マンジャロ5mg | 1本 8,000円 |
ゼップバウンド2.5mg | 1本 7,500円 |
ゼップバウンド5mg | 1本 11,000円 |
副作用について
嘔気、下痢などの消化器症状が出現することがあります。また、低血糖によるめまい、ふらつき、意識消失などの副作用を認める可能性もあります。気になる症状が現れた場合は医師にご相談ください。
予約について
事前にwebまたは、お電話で内科受診のご予約をお願いいたします。
自費診療における薬剤について
当院では、ウゴービ®、ゼップバウンド®/マンジャロ®を用いた肥満症治療を自費診療にて行っております。これらの医薬品は、いずれも海外では2型糖尿病および肥満症の治療薬として承認されていますが、国内での承認内容は以下の通り異なります。
未承認医薬品等の使用について
ウゴービ、ゼップバウンドは、国内において「肥満症治療薬」として承認されています。ただし、保険適用には厳格な施設基準を満たす必要があり、当院では自由診療にてご提供しております。マンジャロは、国内で2 型糖尿病の治療薬としては承認されておりますが、肥満症治療を目的とした使用については国内未承認です。
入手経路について
ウゴービ、ゼップバウンドおよびマンジャロはいずれも国内の正規医薬品卸業者を通じて、正規の流通経路による国内承認品を使用しています。
国内承認医薬品の有無
肥満症治療薬として厚生労働省に承認されているものには、ウゴービ、ゼップバウンドがあります。ただし、保険診療での使用には施設基準などの制約がある状況です。
諸外国での承認状況と安全性情報
アメリカ食品医薬品局(FDA)では、マンジャロが2型糖尿病治療薬として、ウゴービ、ゼップバウンドが肥満症治療薬として承認されており、安全性・有効性に関する情報が蓄積されています。報告されている副作用には、悪心、嘔吐、下痢、便秘、低血糖、急性膵炎などがあります。
医薬品副作用被害救済制度について
ウゴービ、ゼップバウンドは肥満症を目的とした使用において国内で承認されておりますが(適応内使用)、副作用が生じた場合には医薬品副作用被害救済制度の対象外となる可能性があります。一方、マンジャロは、肥満症を目的とした使用においては国内未承認の「適応外使用」に該当するため、重篤な副作用が生じた場合でも、医療保険や医薬品副作用被害救済制度の対象外となります。当院では、使用にあたってのリスクや補償制度の対象外となる可能性について、事前に十分な説明を行い、患者様のご理解と同意を得たうえで治療を開始いたします。